新聞やネットニュースで取り上げられたが、中国では18歳以下の未成年者対象にゲームで遊べる時間を金~日曜の20-21時の間、週3時間に限定するそうだ。それ以外の時間はサーバーで制御、アクセスできないようにするらしい。また中国のアーティストを支持するファンの過激な行動を抑えるよう所属事務所に対して厳しい措置を講じ始めるようだ。例えばファンがSNS上で投げ銭する金額がときに莫大なものだったりするので、その額を制限もしくは投げ銭自体を禁止するような対応や、ファンとアーティストの距離があまりに近くなりすぎ、ときにアーティストがファンに手を出してしまう行為を罰するなど不謹慎な行為に目を光らせるようなのだ。更には、日本人アーティストや韓国人アーティストが中国人アーティストや中国ファンに与える悪影響を不安視、”男らしくない”雰囲気や衣装、佇まいを放送から外すような話もでているという。ここで3つの話がでているが、真ん中の「ファンとアーティストの接近度」「ファンのタニマチ化」は既にK-POPで起こっている現象で、K-POPのファンが世界中でファンドを立ち上げ、リリースやメンバーの誕生日に街頭広告を買い占めるのは常態化している。これ自体は悪い話でないと思っていたが、ファンがいわゆるグルーピー化するということが今日のコンプライアンス上問題となっているのだと思う。70年代の外タレは来日公演で必ずグルーピーと呼ばれる日本のファンをホテルまで呼んでパーティを行っていた事実を思うと、この措置は健全であるし、なんら否定すべきものではない。ただ、ファンが貢ぐ、貢献する表現形態は、投げ銭だろうが、物販やチケットを買い占めようが、犯罪に直結しない限り否定すべきことではないと思う。
さて、一つ目と最後の話だが、ゲーム時間の制限=悪という考え方や男性アーティストのフェミニン化=不謹慎という捉え方はいかにも中国的ではある。前者は確かにある程度抑止すべきだろうし、子供の成長過程において一時期ゲーム脳が悪影響を与える可能性は否定できない。ただ、e sportsがオリンピック競技になるとか、先進的なゲームを開発するユニコーン企業が中国でも今後もっと起きうる可能性を考えたら、その芽を摘んでしまうのではないか、という不安がある。後者については、どのみちどうしても見たい熱狂的なK-POPやJ-POPのファンはネット上で彼らのMVやライブ映像を観て、興奮するのだろう。抜け道は幾らでもある気がする。
総じて、アニメも音楽もゲームもそうだが、エンタテインメント全体の中国におけるクリエイティブな成長を考えると、国策としてこうした対応や規制を行う中国が結果として日本や韓国のエンタテインメント産業に追いつけそうで追いつけない、ビハインドの状況を自ら招いていることに、少しホッとしたりするのだ。共産主義とエンタテインメント産業は反りが合わないような気がしている。ただ、そんなアゲンストにあっても打たれ強い杭が出てくるのが世の常だ。中国のエンタメ動向には引き続き注視していきたいと思う。
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