アジアに出張に行くと、度々思うことがある。帰国するとすーっと忘れてしまうのだが、今回は自分の記憶に留めるためにもここで記しておきたい。それは女性の進出と言語の駆使だ。日本の音楽業界でも昨今は女性スタッフの躍進ぶりが目立つ。特にセールス、プロモ―ションの部門では女性の方が目立つし物怖じしなく、優秀だったりする。でも僕の記憶の限りでは、20年前からアジア各国のレコード会社では女性スタッフが各部門のトップだったりしていたのだ。更に驚くべきは、日本人アーティストの担当者は英語よりも日本語が得意だったりする。これは日本に置き換えると欧米アーティストを担当する洋楽部門のA&R(マーケティングに長けた制作担当者)が英語に堪能ということと相似しているが、よく考えてみると断然違う。さきほど挙げたのは台湾の会社なのだが、台湾の母国語は台湾中国語で、英語でも日本語でもない。それなのに彼らは英語も話せたうえで日本語も堪能ということなのである。その点僕ら日本人はアジアも欧米も、英語で通じ合おうとする。もちろん、日本人にとって英語の習得自体簡単なことではないのは分かっている。英語でコミュニケーションが取れることだけでも素晴らしい。ただ、せめて訪問国や地域の言葉で挨拶や簡単な会話くらいはできるようにしたい、と思う。もしかしたら、彼らはアニメやJ-POPが好きで、それが高じて日本語学習をいそしんだかもしれない。動機はなんでもいい。仕事目的でどうしても中国人と打合せする必要があるのなら、日本語で自己紹介されたときにちゃんと中国語で自己紹介くらいはできるようにしてほしい。それがお互いが歩みあうということではないだろうか、と20年前から中国語を断続的に続け、いまだ上達に程遠い私は心でつぶやくのである。
- inoutworkscom
Comments