先日仕事の関係者に連れて行ってもらったのは、高田馬場にあるミャンマー料理レストラン。中華、タイ、インドネシアンを混ぜ合わせた料理がメニューに記載されているなか、「ディープ料理」というページに目が留まった。どのメニューも他のページに比べて彩りがトーンダウンしている。なんだろう、とよく見るといわゆる「ゲテモノ」系料理の紹介だった。カエルの、ミミズの、トカゲの、ヘビの、揚げものや焼きものメニューが解説文一言付きで載せられていた。「カエルは噛み応えや味が、鶏肉のようです」とか書かれている。あぁそうですか、と思うものの、とてもオーダーする気にはならない。でも、これがミャンマーで常食となっているのであれば、興味はそそる。
かれこれ15年前になるだろうか。当時の上司と上海出張に行った折、打合せをした中国企業とそのまま夜会食になり、彼らが予約したレストランへと行った。レストランは日本人をもてなすに相応しい高級レストランで、僕らは何皿も出てくる上海料理を少しずつ味わいながらビールを飲み干していった。お酒も進んで会話も弾み、興が高じたあたりで、中国企業の上席のスタッフから、「特別な酒を用意するので飲んでくれ」と言われ、勧められるままにコップに注がれた酒を見た。白酒だろうか、と思いつつコップを口元に近づけると、なんとも生臭い強烈な匂いが鼻を突いた。「これは?」と尋ねると、「ヘビ酒だよ。滋養強壮にいいんだ」と説明を受けた。ちびちび飲んだが、やはり生臭さが消えず、強烈な臭気がそこかしこを漂っている。そして、程なくうなぎのような肉が盛られた皿が円卓に置かれた。
「これは?」と聞くと、「ヘビ肉だ。これも男性にはよく効くのだ。」と返事が返ってきた。
一口かじると、結構肉厚があり、かつ骨が太い。僕は3口かじってギブアップしたが、上司も結構堪えていたようで、同様に途中で箸を止めた。
結局、その夜は悶々とした気分のままホテルに帰ることになったのだが、その後のコースが用意されていても良かったのに、悔やまれる。
話は戻るが、出張でも旅行でも旅先の料理は手を付けるべきだと思っている。それがたとえ一般的に言われる「ゲテモノ料理」だとしても、そこには何がしかの現地を知る手掛かりがあると個人的に思っている。
日本の田舎ではもはや徐々に見られなくなった光景かもしれないが、僕が栃木県の田舎の小学生の頃は、イナゴや蚕がおすそ分けとして玄関まで持ってこられたご近所付き合いがあった。イナゴはそのままの形で甘い味付けをされていたが、子供ながらにショックだった。
それでも、周囲の大人たちが食べるのを見ていると、そういうものかとどこかで腑に落ちて、「たんぱく質が豊富でいいのよ、食べなさい」と母に言われ、口にしたのは当時の自然の流れだったという気がしている。
いまでこそ、たんぱく質を補填する食べ物は、他にも多いし、ビタミン剤さえ入手可能な昨今だが、当時は各家庭がたんぱく質不足を補うために知恵を絞った結果なのだ。食生活はなるべくフレキシブルに、旅の食は無理ない程度にチャレンジングに!これが僕のモットーである。
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