もう数か月経過した話であるが、香港の女性活動家、周庭さんが10か月の禁固刑になったとニュースが報道した。本人はその判決を耳にした時、涙を流したという。日本語が堪能で、日本のニュースにも頻繁に取り上げられていた彼女のニュースは、日本人にとっても心が痛であろう。そもそも逃亡犯条例の改正案を発端に、香港で雨傘運動が大規模かつ長期化し、いよいよもって中国政府が2020年6月香港国家安全維持法を可決し、従来の1国2制度を事実上覆すこととなった。逃亡犯条例とは、香港が犯罪人引き渡し協定を締結していない国・地域に対して容疑者引き渡しを不可能とする条例だが、これを改正し、引き渡し協定を結んでいない中国本土、台湾、マカオに引き渡しできるようにするという動きが香港政府内であり、中国政府も後押ししたと考えられている。改正されれば、特別行政区として自治が認められていた香港でも犯罪者を中国本土に引き渡すことができるようになる。香港の若者を中心とした改正案反対運動は、こうした中国政府による香港への介入度合いが深まったのを受け、熱を帯びていったのだ。周さんはこうした反政府運動の首謀者の一人としてメディアにもよく取り上げられていたし、日本を含む海外からも彼女を支持する声がSNSを通じて上がっていた。それが国家安全維持法施行により、彼女の活動は「海外との接触により中国政府に危害を及ぼす行為活動」とみなされ、今回のその最悪な事態となったというわけである。中国ビジネスを行う身として勝手な発言はできないけれども、10か月の禁固刑は厳しい対応だと感じている。中国本土にも香港にも台湾にも私の親友はおり、ネット上で連絡を取っている。彼らは方言こそあるものの一様に中国語を話し、中華料理を食べ、フレンドリーな人たちだ。私が幹事になって彼らを一堂に会した食事会を行ったことはないが、もしそんな機会が将来訪れたとき、国や政府や政治が彼らを分断するようなことがあってはならないと感じている。
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